河野 昭典からのメッセージ

イップスを受入れ、ともに乗り越えましょう

イップス症状は、治すものではなく、乗り越えていくものです。 野球において、監督、コーチ、トレーナー等がイップス症状になった選手にポジションを替えたりと対策を考えておりますがなかなか症状改善へとはいたっていないのが現状です。

軽い症状だと、技術指導等で乗り越えていく選手はいると思いますが、長年悩み続けている選手はなかなか乗り越えられていないのが現状です。焦れば焦るほど症状は悪化(努力逆転の法則)していきます。そして、全ての選手が同じ方法では乗り越えてはいけないものです。 生い立ち、生活環境、性格、体質、食事等全ての人が違うようにイップス症状においても、お一人お一人育った環境や、経験も違い、イップス症状が現れた要因も異なります。乗り越え方も様々です。

私の経験上、「心の受け入れ・乗り越え方」「心のしくみ」「脳のしくみ」等が理解でき、イップス症状になった本人の「生活環境」「性格」「体質」等を理解できた上で、「技術指導」「メンタルトレーニング」の併用によって、乗り越えていけるものだと確信しております。

また、子供の頃からの家庭環境において、親の教育や学校での教育、野球指導で「こうでなくてはいけない」という観念(プライド)が強ければ強い程、そして能力が高いほど、中学、高校、大学、社会人、プロになって突然イップス症状になりやすいものです。

実際、当所にイップス症状で来られた選手の多くは、生活環境において、子供の頃、親からの強い指導・教育で本人の意思とは逆にやらされていた感が強いように思われます。

イップスは突然なるものではありません。今までのこれらの観念が、私生活・社会生活・スポーツ活動において積み重なり、発端としてイップス症状になって現れると考えられます。
人は、自然に感じ、考え、生きているのです。好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌いだし、痛いものは痛いし、悲しい時は涙が出るというように自然に生きているのです。そして、自然に出来ていたものを不自然にするからこそ症状として出てくるものなのです。

最後に、イップス症状になったスポーツ選手は持っている能力が高いからこそ、もっとできるはず、もっと、もっとと自信から過信に変った時に症状が起きやすいようにも思います。イップス症状は必ず乗り越えていけるものです。諦めないことです。そして、イップス症状になった自分も自分として受け入れましょう。