ジストニアとイップスの関係について

ジストニアという症状は、運動障害の総称で、「中枢神経系の障害による不随意で持続的な筋収縮にかかわる運動障害」と定義されています。
わかりやすく説明すると、身体の一部が、自分の意識ではなく、無意識に筋肉が硬直してしまい、思い通りに身体を動かせなくなるということです。
 
また、イップスという症状は主にスポーツの世界(野球、ゴルフ、卓球、テニス、サッカー、ダーツ等)で言われている事であり、「集中を必要とする場面で極度に緊張を生じ、無意識に筋肉の硬化を起こし、思い通りのパフォーマンスを発揮できない症状」の事を言います。
 
ジストニアとイップスの共通する点は、「自分の意識とは裏腹に、無意識に筋肉が硬直を起こし、思い通りのパフォーマンスを発揮出来ない」ということです。
 
では、なぜ無意識に筋肉の硬直を起こしてしまうのでしょうか?
ここにも両症状の共通点があります。
それは、「外部からのプレッシャーや自分の心の中で生じるプレッシャーによって普段は何も考えず無意識にできていることが急にできなくなってしまう」ということです。
こうしなければいけない、こうあるべきといった固定観念により、心(無意識)と頭(意識)で葛藤が生じ、その結果、身体に起きる反応として、筋肉の硬直が生まれます。
この無意識に生まれる筋肉の硬直が思い通りのパフォーマンスを妨げています。
 
ジストニアとイップスについて述べてきましたが、まとめてみますと、
① どちらの症状も無意識に筋肉硬直が起こり、思い通りのパフォーマンス(運動)ができない
② 筋肉硬直の主な原因は、意識と無意識の葛藤から生じてくる心的理由である。
これがジストニアとイップスの共通点です。
 
つまり、ジストニアという症状もイップスという症状も、言葉を使う場面、場所が違うだけであり、ジストニアとはイップスであり、また、イップスとはジストニアであるということが言えます。
 
最近では、職業性ジストニアという区分の中にイップスが含まれている事もあるようですが、まだまだ認知は少ないようです。